タイでユニクロ「秋冬モノ」人気の理由

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11月初旬、自動車メーカーの取材でタイを訪れた。約1年前の記録的洪水で首都バンコクまでが水に浸かり、生産が麻痺する被害が出たにもかかわらず、トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)や日産自動車(7201.T: 株価, ニュース, レポート)など日系自動車メーカーは、再びタイへの投資を加速している。

同国では日本車のシェアが9割と驚くほど高いうえ、輸出拠点としても発展が見込まれているためだ。新興国の活気や自動車メーカーの意気込みを肌で感じる機会となったが、滞在中、現地に住む日本人男性からおもしろい話を聞いた。

タイでは「ユニクロ」の秋冬モノが売れているというのだ。11月でも気温は30℃を超える温暖な地。いったいどこに秋冬モノのニーズがあるのだろうか。

彼いわく、タイでは冷房が効いているのは会社の経営状況がいい証拠と受け止められ、女性も長袖が着られるような会社で働くことをステイタスに感じるらしい。ただ、オフィスのエアコンの設定は20度以下が普通で、長時間仕事をするには寒すぎる。そこでオフィスで働く女性従業員に薄くて暖かい衣類の人気が出ているという。

確かに、バスやホテル、レストラン、ショッピングセンターなどはいずれもエアコンが強く効いており、肌寒く感じる場所が意外と多かった。旅行ガイドブックなども、タイでの服装は日本の夏をイメージすればいいとしつつ、冷房が苦手な人は1枚羽織るものを持っていくことを勧めている。

ユニクロを展開するファーストリテイリング(9983.T: 株価, ニュース, レポート)によると、タイで販売している秋冬モノは寒い地域を旅行する観光客などに需要があり、オフィスでも手軽に羽織れるフリースなどが重宝されているという。ただ、男性向けも売れており、特に女性ばかりに人気というわけではないらしい。

ユニクロは2011年9月、バンコクにタイ1号店を出店。秋冬モノを扱うのは今年で2年目だ。タイでは13年8月末までにさらに3店舗追加する計画で、同国での出店数は合計9店舗になるという。シンガポール、マレーシア、フィリピンなど東南アジアの他の国にも出店攻勢をかけている。

タイの秋冬モノに限ったことではないが、メーカーが開発時点で想定していなかった地域や場所で意外なニーズがあり、ヒットする商品もあるだろう。世界に販路を広げていくには、まずは固定観念を捨て、現地の生活をつぶさに観察するところから始めることが必要なのかもしれない。

発信元:http://jp.reuters.com/article/jp_blog/idJPTYE8BA01R20121211

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