最近、ナコンパトム県であった詐欺です。道端でお菓子を売っているおばあさんがいました。そこに車で乗り付けた上品そうな女性。「あら、おいしそうなお菓子ね、いくら?」「ここで何年売っているの?」「私のおばあさんと似ている」などと歯の浮くようなことを並べ立て、頬ずりまでして「ここにあるお菓子、ぜんぶ買って、会社の従業員に食べてもらうわ」と言ったそうです。おばあさんの喜びようはいかばかりだったでしょう。やさしい笑顔でお菓子を袋に詰めていたことでしょう。
そこに洗車用の大き目の布を売り歩く男女二人がやってきました。車でやってきた女性は1枚買ってあげました。するとミヤンマー人と称するその男女二人は、女性に「実は宝くじで400万バーツ(約1000万円)が当たったが、自分たちはIDもパスポートもないため、当選者としてお金を受け取りにゆけない。当選したくじを100万バーツで買ってくれないか」ともちかけたそうです。女性は「たったの100万バーツで!?」といぶかしみましたが、ミヤンマー人と称する二人に「いずれにしても自分たちは400万バーツを手にすることができないのだから、100万バーツでいい。助けると思って買ってくれ」と言ったそうです。女性は意を決した様子を見せて、今、85万バーツしかないからまけてくれとかなんとか言ったのでしょう。その一部始終をおばあさんは見ていました。
女性はおばあさんに不足分の15万バーツ(約40万円)を出してくれたら分け前をあげると提案しました。おばあさんは欲得ズクだったのか親切心なのかわかりませんが、女性に車で銀行まで送ってもらい、カウンターで15万バーツを引き出して女性に渡しました。
おばあさんのお菓子を売っているところへ車で戻る途中、その女性が「小腹が空いたので、そこの店でお菓子と飲み物を買ってきて」とおばあさんに頼みました。おばあさんが車の外に出てドアを閉めると車は去ってしまいました。
事件を報道するテレビのレポーターは、お年寄りが余生のために貯めたお金を無慈悲に奪った犯人に対しテレビカメラの前で叫んでいましたが、警察の質問に答えるおばあさんの姿はとても冷静でした。もし、自分も儲けようとして騙されたとわかったならば大声でその女性やミヤンマー人を自称する男女を責めたてるはずです。それなのに「なぜ自分はお金を差し出したのだろう」と不思議がっていました。
これが詐欺です。信じさせて油断させ、釣り上げる。正直者のあなた、ウマイ話には気をつけてください。
発信元:http://diamond.jp/articles/-/28002