タイ洪水から1年 県内企業の現地拠点ほぼ回復

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日系メーカーの生産拠点が集積するタイで大規模な洪水が発生してから1年。工場が浸水したり部品調達が滞ったりする打撃を受けた県内企業の生産体制は、これまでにほぼ回復した。インフラや税制面の優遇策といった魅力は薄れず、一方で日中関係の悪化もあり、タイへの投資は今後も拡大しそうだ。
 「あれだけの水害にも関わらず、電気や水道の復旧が早かった。日本をはじめ外資企業が他国にシフトすることはないだろう」
 タイに生産拠点を置くスター精密(静岡市)の佐藤肇社長はこう指摘する。昨年10月中旬ごろから被災したアユタヤ・ロジャナ工業団地の子会社の工場は、工作機械約100台が全滅した。だが、政府の対応は素早く、防水壁の整備など洪水対策が進んだという。同社はバンコク北東に新工場を建設中で、2013年初めごろに稼働する予定。自由貿易協定や質の高い労働力などを追い風に、今後もタイ生産を拡充する。

 村上開明堂(同)も自動車用室内ミラーを生産する子会社の工場が浸水した。タイでの損失額は約3億6千万円。今年1月に生産を再開し、8月に復旧した。日系自動車メーカーが集積するタイの魅力は大きく、東南アジアを重要拠点と位置付け、今後も投資に力を入れる方針だ。
 ユタカ技研(浜松市)はサプライチェーン(部品の調達・供給網)寸断の影響で、一時落ち込んだ自動車部品の販売が回復した。岡本稔社長は「現時点で洪水の影響は皆無。今後も生産能力を拡大しなければ」と話す。
 一方、今後も洪水懸念は消えず、各社は気象リスクと向き合いながらビジネスを進める。01年にタイに進出したアルミ製機器メーカーのSUS(静岡市)は水害を未然に防ぐため、工場を約3・5メートルかさ上げする「高床式スタイル」を採用。担当者は「一時的でも生産がストップするのは大きな打撃。自社の設備は自社で守ることが大切」と強調する。

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