これまで、タイの風俗業界といえば、カラオケ、ゴーゴーバー(水着の女性がステージで踊るバー)、ビアバー(カウンターだけのシンプルなバー)、ソープランド(タイではマッサージパーラーという)、置屋、援交バー(ホテルのレストランなどに売春婦が集まっている)、立ちんぼなどで、どのジャンルでも金さえ払えば本番ありが基本だった。
そんなタイの風俗業界に、いわゆる日本でいうところのファッションヘルスのような業態、すなわち「本番のない店」が出現し始めた。
先駆けとしオープンしたのは日本人が経営する『茜』。
「開店当初こそ日本人のお客さんばかりでしたが、アカスリを柱にしたチットロム店は中心部の駅前であることもあって、白人7割、日本人3割という客層です」
英語の雑誌などにも紹介されたこともあり、本番が基本の風俗しか知らなかった白人たちが、ローションを使ったエロ・マッサージと口によるサービスを中心とした昇天テクニックに目からウロコで大絶賛している。
「うちはとにかく接客と技術、これなんですよ。この仕事は手抜きができない。本番ありの店は極端な話、寝転がっていればいいだけですから。タイでは一般企業でも従業員の定着率が悪い。ましてや風俗店はなおさらです。それでもうちは年間でひとりかふたり程度入れ替わりがあるかないかです。テクを身につけたコが多く在籍しています」(「茜」のスタッフ)
タイの風俗ではマグロ率が異常に高い。ゴーゴーバーなどではかなり積極的にアピールをしてきたり、激しく腰をうねらせてダンスをする女のコでも、ホテルに入るとしおらしいどころか微動だにしなくなることがよくある。その点で、茜のように日本的な「技術重視」の店は異彩を放ったのだろう。
こちらが「茜」のすくむピット33店
しかし、なんでまた本番天国のタイの風俗業界で、敢えて本番なしの店を開こうと考えたのだろう。
「マッサージパーラー(タイのソープランド)だと規模が違いすぎて勝ち目がありません。こういったサービスなら小さな店舗でもできるし、当時はほかにまったくなかったですからやっていけるのではと考えました」
タイのマッサージパーラーは日本では考えられない規模で展開している。ホテル並みの建物1棟が丸々マッサージパーラー、というのが普通で、女のコも常時50人以上は取り揃えている。そんなところと張り合おうにも資本が違いすぎて同じ土俵にすら立てない。社長が頭を捻って考えた戦略がファッションヘルスだったという。
この『茜』は基本的にタイ人以外の外国人向けに展開していて、タイ人向けには特に宣伝をしていない。とはいえ誰かが『茜』の評判を聞きつけたのか、本番なし、さらに口によるサービスもない手コキサービスをタイ人向けのマッサージ店で始め、さらにそれを真似た店が急増している。本番一辺倒だったタイの風俗業界に変化が訪れているのだ。
このタイ式手コキ風俗は多少のチャージ(約1500~3000円)で裸になるが、やっぱり本番はない。個別に口説くことでもしかしたら可能かもしれないが、結局、ここに来る客層は本番を求めていないのだとか。聞けば、働いている女のコは、学生やOLがバイトしに来ているケースもあるという。自然とかわいい女のコも多く集まる傾向にあるという。
発信元:http://nikkan-spa.jp/329035