タイ東部プラチンブリ県のIT事情

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セキュリティも管理も早期導入がカギ

 この1―2年、タイ東部の新たなハブとして注目が一気に高まり、日系企業の進出が相次ぐと共に日本人在住者が急増中のプラチンブリ県。弊社はIT(情報技術)業界のさきがけとして同地にいち早くオフィスを開設しているが、日々の営業活動をとおして感じるのはやはり、セキュリティ業務や管理業務の優先順位が低いことだ。日本と比較して従業員の入れ替わりが頻繁なタイでは、その分だけ社内データの取り扱いに気を付けなければならないし、生産管理一つをとっても手作業とシステムでは効率の差は明らかだ。企業が今後さらに増えていき、人材確保がよりシビアになってくるであろうプラチンブリ県。頼れるのはやはりITであり、より速やかなシステム導入が求められる。

生産最優先で常に後手のIT

 製造業の場合、最優先はもちろん生産だ。ITが重要なことは誰もが理解しているが、どうしても後手に回ってしまう。これはプラチンブリ県に限ったことではなく、バンコクでも他県でも同様。日本人のIT担当者を抱える大手企業でなければほとんど、「現地スタッフ任せ」となる。日本人駐在員は地元タイ人スタッフを信頼していても、言葉の問題などで意思疎通がままならないときがある。PC管理や社内データ保存の現場を把握しきれず、「PC買い替えの禀議書が回ってきたということは、どれかが壊れたのだろう」という程度の管理が精一杯になってしまう。

 そのような状況では、社内データがどれほどしっかり守られているかが不安だ。情報などメディアに保存してポケットに入れてしまえば、どこにでも持っていける。会社としてはいつ持ち出されたのか見当もつかない。情報漏えいはタイに限ったことではなく日本でも起きていることだが、多くの企業が決して広くない地域に集中するプラチンブリ県では特に、「我が社の情報が隣の工場に流れる」ということもありえる。「1つの会社に末永く」といった終身雇用の考えがまだまだ残る日本人にとって、転職を重ねるタイ人はクールに見えるかも知れないが、世界的には特殊でも何でもないのだろう。

 スタッフの入れ替わりが頻繁であればなおさら、しっかりとしたセキュリティを構築しておかなければならない。最低限、各PCのログ(履歴)を記録できるようにしておきたい。導入費はPCの台数によって変わってくるが、1台当たり数千バーツ程度。ITを専門としないスタッフでも取り扱いは可能、日本人責任者が自ら管理できる。

人材問題を解決するシステム導入

 タイは昨年から今年にかけて、最低賃金が全国統一の300バーツに引き上げられた。隣の工場と同じ賃金や福利厚生では労働力を確保しにくくなってきている。苦労はどの県でも同じだろうが、企業の進出が相次ぐプラチンブリでは今後さらに人集めが難しくなってくる。すでに過密化して久しい東部チョンブリ県やラヨン県と比較すればまだまだ探しやすいが、「製造業に携わる人材」という分母はこれ以上は大きくならないだろう。それこそ「我社より賃金が高い隣の工場に転職してしまった」というスタッフが出てくるはずだ。

 そのとき、会計にしろ生産にしろ管理を手作業でこなしていたら、新人に教える、辞められる、次の新人にまた教え直す、という手間を繰り返さなければならない。一方、システムを導入すると決めたら規模にもよるが会計なら3カ月、生産なら6カ月という期間を経て、手作業から離れていくことになる。将来的な人件費や人手不足に惑わされない安定した生産を実現できる。

 IT会社の名が付いていても実際はパソコンショップ、といった界隈のIT業界で弊社は最初で唯一、日本人常勤のSI(システムインテグレータ)として事務所を開設した。既存、新規に関わらず多くの日系企業のITの現場で活躍させていただけるよう努力していく。

発信元: http://www.newsclip.be/bz/037712.html

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